『立春』も過ぎて、いつの間にか日が伸びてきたのを実感する日々ですが、まだまだ寒い日が続いてます。
そんな中で、現在『第24回冬季五輪 北京オリンピック』が開催されている最中ですが、さまざまな問題点が浮き彫りとなっており、波乱のオリンピックになりそうですね。
ただ、選手村ではハイテクな設備で徹底しており、食事も「北京ダック」が出たり、「ハンバーガー」や「鍋」も全自動式の機械で作るなど、また新たな食事スタイルのお披露目としては、充分過ぎるものとなっています。
さて、「北京ダック」は『中国料理』の代表的な料理のひとつとなっていますが、これは『世界三大料理』のひとつになります。
『世界三大料理』と言うのは、『フランス料理』・『トルコ料理』・『中国料理』です。
そして古来、『中国』や『朝鮮半島』から来たいわゆる『渡来人』たちから伝わった料理が、『日本料理』に大きく影響を与えて、いつしか『日本』独自の食文化へと変化していったんです。
その中で『中国』や『朝鮮半島』の料理で基本となる味付けが、『五味五色』。
『五味五色』とは、5つの味と5つの色のことで、『甘味』・『酸味』・『塩味』・『苦味』・『辛味』の5つの味と、『白』・『黒』・『赤』・『黄』・『青(緑)』の色となっています。
これは『陰陽五行説』から来ているものですが、のちに『日本』では『辛味』では無くて、『うま味』が加わっての『五味五色』と独自の進化をしてきました。
まずは「目で楽しみ、その後で味を楽しむ。」と言う、『日本食(和食)』の独自のスタイルのルーツはここから来ているんですね。
そして、『日本食(和食)』は2013年には『ユネスコ無形文化遺産』に登録をされました。
その理由は、『「自然の尊重」という、日本人の精神を体現した食に関する「社会的習慣」』からになっています。
(上記は『タイガー魔法瓶』公式ホームページから引用。)
例えば、『日本食(和食)』の朝食で、「ご飯」に「味噌汁」、おかずとして「焼き鮭」、「ネギ納豆」、「卵」や「煮物」、「海苔」などは『五味五色』が全て揃った、栄養満点の完璧なメニューとなっています。
(上記は『すき家』「鮭デラックス朝食」より引用。)
知らず知らずのうちに、我々『日本人』は『五味五色』を感じながら、朝食を食べていたという事が分かりますね。
また、『日本食(和食)』では、味付けの基本として、『料理のさしすせそ』という独自の調理法があります。
これは
「さ」→「砂糖」
「し」→「塩」
「す」→「酢」
「せ」→「せうゆ(醤油)」
「そ」→「味噌」
の5つとなっており、基本的には上から順番に使うのが良いとされています。
ただし、料理によっては、その順番がバラバラとなるので、必ずしもとはいかないのが、面白いところでもあります。
こう言った、基本をしっかりとしていながら、時にはその基本を覆して料理をするというのが、代々受け継げられて、いまの『日本食(和食)』となっているという事が、『ユネスコ無形文化遺産』に登録された1つの理由ともなっています。
また、色にもそれぞれ特性を表しており
「白」→清潔感
「黒」→引き締め
「赤」・「黄」→食欲促進
「青(緑)」→安心感
となっています。
『正月』に欠かせない『おせち料理』もこの『五味五色』を取り入れた料理となっていることからも、『日本人』には昔から、『五味五色』を尊重しながら、代々受け継げられてきた『日本』ならではの『食文化』だったんですね。
『日本食(和食)』というのは。
さて、3月3日は『五節句』と言って、『江戸時代』には祝日となっていた『年中(宮中)行事』では、大事な日です。
これは元々、『平安時代』よりも前にまで遡り、貴族階級の子供のお姫様たちが、飾り付け楽しみをしながら健康や厄除けを願っていたという風習になります。
のちに武家社会となってからは、『端午の節句(菖蒲の節句)』は「尚武(しょうぶ)」とかけて男の子の節句に、『上巳の節句(桃の節句)』は、女の子の節句となっていきました。
この日は『雛祭り』とも呼ばれており、女の子の成長や健康を願う大切な日となっていますが、『雛人形』を飾り、「白酒」や「ちらし寿司」、「菱餅」や「雛あられ」などを食べて楽しむ節句となります。
ここで有名な都市伝説をひとつ。
『雛飾り』は3月3日が過ぎた3日後の3月6日頃までにしまうのが良いとされています。
早くしまわないと「お嫁に行けない」とか「婚期が遅れる」などとされており、これは『雛人形』が女の子の厄を引き受ける役目をもっているためです。
他にも、行事が終わったら出しっぱなしにしていないで、早く片付けるという「しつけ」から、そしてそれが出来ないと「お嫁に行けない」という事から、また「片付く」というのが「結婚する」という意味もあることからも、どちらにしても早めに片付けた方が良いとなっています。
そして、この日に振る舞われる「ちらし寿司」こそが、『五味五色』を表現しているんです。
(上記は『味の素 レシピ大百科』ホームページ 「ちらし寿司レシピ」より引用。)
「ご飯」の「白」に、「海苔」の「黒」。
「海老」や「錦糸卵」の「赤」や「黄」、薬味としての「わさび」の「青(緑)」。
また、「ちらし寿司」の味付けには「味噌」以外の調味料を全て使っていますし、そこに「味噌汁」を添えれば、『五味五色』全てが揃うんです。
特に今の時期ですと、少し豪勢に「蟹」や他の魚介類を入れた「あら汁」にすると、身も心も温まりますね。
このように、我々『日本人』の食文化に古くから根付いてきた『五味五色』。
これら伝統を大事にし、少し意識しながら料理をするとまた一段と楽しみが増えてきますよ。