4月も中旬に入り、気温も20℃を越える日も珍しくなくなってきた季節となりました。
そんな中、ここ最近の天気で続いているのが『お天気雨』。
その別名は『狐の嫁入り』とも呼ばれています。
特に、関西地方や四国では『狐の嫁入り』と呼ばれて親しまれています。
その理由は、京都では商売の神様が『伏見稲荷大社』であり、そこに祀られている神様の神使が『狐(キツネ)』だったからです。
『日本』は古来より、『稲作農業』がメインの国です。
そんな『稲作』にとって、敵となるのが虫やネズミなどの小動物たち。
それを食べてくれる益獣として『狐(キツネ)』を『伏見稲荷大社』の主祭神で「食」の神様である『宇迦之御魂神(ウカノミマタ)』の神使と結びつけて、崇められるようになりました。
ちなみに『宇迦之御魂神』の「宇迦(ウカ)」は穀物、特に「稲」を表していることばで、「御」は「神聖な・神秘的な」、「魂」は「霊」をそれぞれ表していることから、「稲に宿った神聖な霊の神様」と言うことになります。
そんな、「食」の神様の『宇迦之御魂神』の父には『素戔嗚尊(スサノオ)』の娘であり、兄には『大年神(オオトシノカミ)』がいます。
『大年神』は『正月』に毎年、各家庭にやってくる神様で、門松や鏡餅は元々、この神様を迎え入れるためのものなんですよ。
そんな『大年神』も「食」の神様として、親しまれているので、兄妹揃って「食」の神様ということになります。
その「食」の神様である『宇迦之御魂神』の使いが『狐(キツネ)』だったことから、都(みやこ)であった京都や奈良、商業都市であった大坂などを中心ではその信仰がより深く根付いていきました。
だから、関西地方では『狐(キツネ)』のことを親しみを込めて「お揚げさん」なんて呼んだりもするんですよ。
その後、『江戸時代』に入ると、『五穀豊穣の神様』から全体的な『商売繁盛の神様』へとなり、全国的にも広く信仰されていくようになりました。
余談ですが、『狐(キツネ)』が悪いイメージが広まったのは、『平安時代』に『空海』が持ち帰った『仏典』に悪賢い「野干」という獣が登場しており、それが『日本』では『狐(キツネ)』に似ていることがきっかけで、『狐』=「悪賢い」というイメージが付いていきました。
その後も人間はもちろん、太陽や月・電柱や灯籠などに化けて驚かすなどの物語がたくさん描かれ、どこか憎めないようなユーモアのある存在として、伝承されていきます。
そんな『狐(キツネ)』信仰が土台にある『日本人』だからこそ、『お天気雨』の時、化かされてるような自然現象から、『狐の嫁入り』と呼ばれてるようになったのです。
さて、実際の『日本の嫁入り』と言う自然現象はどのような状態の時になっているかと言うと、主な要因は3つあります。
①、雨粒が地上に落ちる前に、雨雲が消滅しその場は青空になっていた。
②、目には見えない薄かったり小さい雨雲が頭上に残っている。
③、離れた場所で降っていた雨粒が、強風によって飛ばされてくる。
このように、晴れているのに雨が降ることから、『虹』が見れる確率も高く、実は『縁起の良い』ものと昔からされているんですね。
科学がまだ進歩していない時代、そんな自然現象に対して、化かされてるいると考えてしまうのも、無理も無いし、なんともユーモアのある考え方ですよね。
他にも、雨が降ったおかげで、「豊作をもたらしてくれる。」などやはり『縁起の良い』ことを昔から『日本』では考えられています。
だからもし、『お天気雨』=『狐の嫁入り』に出会したら、「なんか良い事がこれから起こるんだなぁ。」と考えてみて下さい。
そう言ったちょっとの出来事でもプラスに考えられる人には、きっと良い事が起こりますから。
最後に、『狐の嫁入り』は世界中でも違った呼び方がされており、『ヨーロッパ』の一部では、『ユダヤ人の婚礼』、あるいは『悪魔の婚礼』などと言う表現がされることがあります。
これは、普通の人間はこんな時に『婚礼』を挙げないと言うような、差別的な意味も含まれていますが、その普通じゃない人々が世界を動かしているなんて事は、「露知らず」と言うことですね。
また、『ポーランド』ではこんな天気の日は、「魔女がバターを作っている。」と言う伝承があるようです。
それだけ、貴重(珍しい)とい事なんですね、『お天気雨』と言うのは。