2021年早くも2月が終わりに近づき、本格的な暖かさを肌で感じられるようになってきました。
「梅」や「桃」の木に花が咲き始め、春の陽気とともに、何か気分も高揚してくる方もいらっしゃると思います。
そんな『春』の季節になってきましたが、実は「江戸時代」では「花見=桜」ではなかったというのをご存知でしょうか?
正確には「桜」を鑑賞する「花見」もやっていましたが、一年間でそれよりも前にやる「花見」があります。
それが「梅」。
というのも「梅」は2月の別名で、『梅見月』と言われ、「江戸時代」の花見は「梅ではじまり、菊でおわる。」などと表現されるくらい、慣れ親しまれていたものでした。
いまよりも自然を近くで感じられた「江戸時代」では、よりその匂いや見た目の美しさを楽しむことが出来たんでしょうね。
そんな「梅」の名所は江戸市内にも数多くあり、特にいまの『向島百花園』では「新梅屋敷」と呼ばれるほど、「梅花見」見たさに多くの江戸庶民が訪れました。
また、『向島百花園』は絵師や文人などといった博識のある人たちの集まる場所となっており、そう言ったところからもいつしか「梅花見」は静かに鑑賞しながら、和歌などを楽しむものとなっていたのです。
ただ、その他の一般の江戸庶民たちは屋台船から鑑賞を楽しんだり、その周辺に出来た商屋で買い物や、お土産を買って帰ってたりというスタイルで「梅花見」を満喫していました。
話は少しズレますが、『向島百花園』は『隅田川七福神』の発祥の地ともなっており、ここに安置されている『福禄寿』を中心に神社仏閣を巡るようになっています。
これも、文人たちが集まりはじめて、のちに一般の江戸庶民たちに広まっていったことが、分かる材料のひとつですね。
この他にも『湯島天満宮』や『亀戸天神社』、そして『谷保天満宮』と『関東三大天神』と呼ばれる神社も「梅」の名所となっていますが、これらはすべて「学問の神様」である『菅原道真』が主祭神となっています。
では、なぜ『菅原道真』を祀っている『天満宮』が「梅」の名所が多いかというと、これは単純に『菅原道真』が「梅」を好きだったからなんです。
「学問の神様」を祀る神社であるからこそ、文人たちが「梅見」をしに集まり、そこで和歌などを楽しむというのが『いき』だったんですね。
そして、現在でも特にこの時期になると、受験生が「合格祈願」として『天満宮』に参拝することが多いことから、他の一般参拝者は迷惑をかけて無いようにと、静かにゆっくりと眺めながら、「梅見」を楽しんでいる様子を良く目にします。
これも、江戸から伝わる伝統的な風物詩であり、大人としての気遣い『いき』なんでしょうね。
次の世代を温かく見守るという意味での。
たかが「梅」ひとつ取ってみても、ここまで深い意味合いがあると言うのは、やはり『日本人』に生まれて良かったなと改めて実感するばかりです。
そして、『天満宮』には必ずと言って良いほど「牛」の像が設置されています。
これは『菅原道真』が「丑年」に生まれたなどというのに由来していますが、今年はちょうど「丑年」にあたります。
そう言ったところからも、是非「梅花見」を鑑賞にしに参拝してみたいですね。
これから満開の時期となりますからね。
また、2月の「午(うま)の日」は『年中行事』のひとつとして、『稲荷神社』に参拝して、「五穀豊穣」を願う風習があります。
特に今年は3回「午の日」がある事で珍しい年なのですが、その最後の「三の午」の日は、2月27日になります。
そして、この日はなんと『一粒万倍日』と『満月』が重なる非常によい『吉日』になっています。
さらに、土曜日ということで休日と重なっている方も多いのでは無いでしょうか。
この機会に、是非「梅花見」を静かに心を落ち着かせながら楽しみ、家族などと一緒に「お稲荷さん」を食べて、2月最後に良い週末にしてみてはいかがでしょうか。