『首都圏』では「桜」も見頃となり、「緊急事態宣言」も解除したことからお花見を楽しんでいる方も多いのではないでしょうか。
今年もほとんどの自治体で規制をしたり、「桜祭り」自体が中止になったりと少し寂しいですよね。
というのも、『日本人』が「桜」を鑑賞しながら酒を飲んだり、食事をするというのは、「平安時代」から続いているものなんです。
だから、我々『日本人』は遺伝子レベルで「桜」が好きなんですね!
また、「桜」の匂いにはリラックス効果や交感神経を刺激して興奮を促す作用があるんです。
だから、「桜並木」を散歩すると落ち着いた気持ちになったり、「桜」を見ながら宴会をしているとテンションが上がるんですね。
そして、現代のような「花見」のスタイルになったのは、実は8代将軍「徳川吉宗」が出した『享保の改革』の一環だったんです。
この改革は基本的には幕府の財政を立て直すのが目的でしたが、それと同時に全国の治水工事をし、川の氾濫を抑えるために「桜」や「桃」の木を植林しました。
でも、この植林した土を固めるためには、大勢の人を集める必要ですよね。
しかも、財政難である幕府にはそんなに多く、人件費を払うことが出来ません。
だから、将軍である「徳川吉宗」が直々に「花見」を推奨して、さらには「団子屋」や「御茶屋」なども設けて人を集まるようにしたんです。
もともと「桜」が好きな『日本人』は、将軍からの令という『大義名分』が出来たことによって、「花見」見物に行き、そこにある飲食店で酒や食べ物を嗜み、おおいに楽しむようになりました。
このような歴史的背景から、現在でも続いている「花見」のスタイルになっていったんです。
倹約家としても有名な「徳川吉宗」。
タダで人を集め、その重みで地面を固めさせてさらには「店」からの税収も取れて、民衆も楽しむ事が出来るというこの政策。
素晴らしいですよね!
また、「花より団子」ということわざも出来るくらい「桜」の下でわいわい騒ぎながら、酒や食べ物も嗜むことが好きな『日本人』。
この「団子」、特に「三色団子」がピンク・白・緑の色になっているのも一説では「桜」が関係しているのです。
というのも、「三色団子」は『日本』の四季を表していて、ピンクは「桜」の花をイメージした『春』を、白は雪をイメージした『冬』を、緑は覆い茂る葉をイメージした『夏』になっているんです。
でもここで「あれっ?」って思いませんか?
『秋』が無いんです。
ここから「あきない」=「飽きない」=「商い」と『掛詞』を使い、「三色団子」が出来たんです。
はっきりとした四季のある『日本』で、洒落好きな「江戸っ子」。
これも、『日本』独自の文化といっても過言ではありませんね。
そんな「桜」を使った食べ物はまだまだたくさんありますが、中でも代表的なものは「和菓子」である「桜餅」。
実は、関西と関東では形も呼び方も違うのをご存知でしょうか?
スーパーなどでここ最近良く目にする「道明寺餅」。
これ、実は関西風の「桜餅」だったんです。
逆に関東風の「桜餅」は「長命寺桜餅」と呼ばれており、首都圏でよく目にしているのはやはり、こっちの「桜餅」がの方が主流かもしれませんね。
(左が「道明寺桜餅」・右が「長命寺桜餅」)
そんな関西と関東では形も呼び方も違う「桜餅」ですが、製造過程にも違いがあります。
「道明寺桜餅」の方はもともと、大阪府の『道明寺』というお寺で、餅米を干して砕いた「道明寺粉」という保存食を使っているのでツブツブとした食感なんですね。
「長命寺桜餅」の方は小麦粉を使っているので、クレープみたいな形になり食感もモチモチとしているんです。
また、「長命寺桜餅」は『向島』にある『長命寺』の門前が発祥の地となっていますが、この『向島』の川沿いにある桜並木が『享保の改革』で植林されたものになります。
余談ですが、『向島』の由来は「江戸時代」のスーパー歓楽街『浅草』から見て、「隅田川」をはさんで、向こうの方にあったから、このような名前になったんです。
「桜」の木は花が散ると葉っぱが生えてきますよね。
これが落ち葉になると大変な量を掃除しなければいけません。
その手間を少しでも省かせ、逆に商品にしたことによって、人気が大爆発!
塩っ辛い好きな「江戸っ子」には、うってつけの「和菓子」だったんですね。
逆に関西の方では、味が薄い方が良しとされていたので、「道明寺桜餅」の方が塩っ気が薄いんですね。
今が満開な「桜」。
なかなか集まっての宴会は難しいと思いますが、この時期にしか見れないのを見て、和んでみては如何でしょうか。