2023年1月16日から20日まで、開催された『世界経済フォーラム』、通称『ダボス会議』。
【出典:『世界経済フォーラム』より】
『世界経済フォーラム(WEF)』とは、経済・政治・学究・その他の社会におけるリーダーたちが連携することにより、世界・地域・産業の課題を形成し、世界情勢の改善に取り組むことを目的とした『国際機関』のことです。
そして、『世界経済フォーラム』が毎年開催している年次総会が、『スイス』の『ダボス』で催されいることから『ダボス会議』と称されています。
この会議では、世界各国からさまざまな分野のリーダーが集まり、環境問題・経済・技術・雇用・健康・国際協力・社会平等など幅広いかつ、社会的にに責任を負う『ステークホルダー資本主義』という概念をもとに、様々な議論が行われます。
その参加者には、各国首脳や国際機関トップ・企業関係者が約2700人以上が参加し、中でも政府首脳が50人を超えた、52人参加というのは、今回が初となりました。
我が国『日本』でも、政府からは『経済産業大臣』・『デジタル大臣』・『経済再生担当大臣』がそれぞれ参加。
企業では『電通』・『サントリー』・『トヨタ』など我が国を代表する『大企業』ばかり。
コンビニで唯一の参加社が『ローソン』というのも興味深いところです。
【出典:『ローソン』ロゴマークより】
その中で特に気になったのが、大学からの参加では『東京大学』と『慶應大学』でした。
海外では、『Amazon』・『Google』・『Mastercard』・『Meta』・『Microsoft』・『Pfizer』・『Walmart』など世界でも名だたる大企業が参加しています。
遺伝子事業会では『Illumina』も…。
あれっ、もしかして…。
そんな2023年のテーマは、『分断された世界における協力』。
英語では、『Cooperation in a Fragmented World』。
これは、現在の全世界に影響を及ぼしている「コロナ禍」・「ウクライナ侵攻問題」をきっかけに世界の分断が目に見えて分かる中で、いかにしてグローバル化を取り戻し、さらなる進歩をどのように世界全体で協力し合えるかを求め、取り組むべき課題を議論することになります。
そしてその課題の柱となるのが主に5つ。
①.エネルギー、気候、自然のための新たなシステムを背景に、現在のエネルギーと食料危機に対応する。
これは、エネルギー転換と気候変動は表裏一体であり、その影響はここ数カ月特に顕著しており、エネルギー転換がグローバルに進むと同時に、二酸化炭素の排出を減らし、気候変動の影響を緩和するためのさらなる行動が必要となります。
エネルギー転換を加速するための重要な方策は、特に新興国で経済成長とエネルギー消費の「デカップリング」、画期的な技術革新を主流とする、公平性に対応する、などが挙げられます。
目の前の危機を口実に、よりサステナブルなエネルギー源への移行を支援する政策を見送るのではなく、この瞬間を利用して、世界が2030年の目標を達成できるよう、より野心的、包括的かつサステナブルなインフラ投資計画を策定すべきなんです。
② .高インフレ、低成長、高負債の現在の経済圏に、投資、貿易、インフラの新しいシステムで対応する。
これについて政策立案者は現在、限られた財政スペースの中で運営されており、インフレ圧力は金融引き締めを余儀なくされています。
金融引き締めは新興国にも影響を及ぼし、多くの国が債務の返済に苦しんでいます。
保護主義的な措置は、過去30年間の経済繁栄の中心であったグローバルな貿易課題を脅かすものでもあります。
これは、新型コロナウイルスの感染拡大によって、さらに1億2千万人の人が極貧状態に陥り、市場全体で重要なインフラの資金不足が露呈したことを受けたものです。
多極化した世界において、経済課題を戦略的に再構築し、国際システムの信頼を回復するには、すべてのステークホルダーが慎重に協力し、経済繁栄と開発に関する新たなビジョンを持つことが必要となることとなります。
③. 企業のイノベーションとレジリエンスのためにフロンティアテクノロジーを活用する新しいシステムといった観点から、現在の業界の逆風に対応する。
これは、第四次産業革命(4IR)の到来、気候変動、地政学的な分断化により、産業界は投資、生産、イノベーションの判断の見直しを迫られています。
現在の摩擦点を乗り越え、将来の競争力を強化するため、企業は4IRの新技術を育むとともに、アジリティへの最適化を図る必要があります。
また、現在のレジリエンス(強靭性)を推進するだけでなく、将来の社会環境経済的な繁栄を形成するために、コアビジネスやオペレーティングモデルを通じてステークホルダー資本主義を実現する必要があるのです。
これを成功させるためには、競合他社、他業界の企業、イノベーターなど、ますます多様化するエコシステム間でのコラボレーションを強化する必要があります。
④.仕事、スキル、ケアの新たなシステムで、現在の社会的弱点に対処する。
公式統計によると、世界的な経済危機が深刻化しているにもかかわらず、労働者は離職を、あるいは離職することを検討しています。
世界最大の経済大国の多くで未充足求人が多く、労働市場が厳しいにもかかわらず、生活がひっ迫する中で多くの職種で実質賃金が低下しています。
これと並行して、新興国は景気減速に伴う大幅な失業というプレッシャーに直面しており、その結果、社会的圧力が高まっています。
今この瞬間に必要とされているのは、満たされていない需要を満たし、社会的流動性の基盤を築き、最終的に経済を将来的に支える教育、技能、ヘルスケアへの強力な投資をサポートする新しいソーシャル・コントラクト(社会契約)です。
⑤.多極化した世界における対話と協力のための新たなシステムで現在の地政学的リスクに対応する。
貿易のような共通の利益をもたらすシステムが、ライバルを罰するための武器として使われ、気候変動のようなかつて協力の模範だった分野が、競争の最前線となる危機にさらされています。
ロシアのウクライナ侵攻は、冷戦終結後の四半世紀間おおむね協調的だった世界秩序から遠ざかるもっとも最近の動きでした。
地政学の舵取りは、協力から競争へと変化しました。21世紀のダイナミクスに対応するため、よりステークホルダーを重視した新しいグローバルシステムの必要性が高まっています。
これらのテーマの中で、今後特に個人と組織の両レベルでレジリエンス(強靭性)に焦点を当て、リーダーシップに特化したワークストリームが準備されます。
また、同会合では没入型デジタル環境を活用して、世界の主要課題に対する官民の協力をさらに拡大することをめざす先駆的な取り組みである「グローバル・コラボレーション・ビレッジ」を実現します。
【出典:『世界経済フォーラム』より】
といった内容です。
それを踏まえて、1月11日には『世界経済フォーラム』は、『グローバルリスク報告書2023年版』を刊行しました。
【出典『世界経済フォーラム』より】
この報告書には経済的・社会的・環境的・技術的緊張から生じる主要なリスクを分析し、1200名以上のグローバルリスク有有識者・政策立案者・産業界リーダーの見解を含め、「2年後」・「10年後」に起こり得るリスクTOP10についてまとめたものとなります。
まず2年後には、
1、生活費の危機
2、自然災害と極端な異常気象
3、地経学上の対立
4、気候変動緩和策の失敗
5、社会的結束の浸食と二極化
6、大規模な環境破壊事象
7、気候変動への適応(あるいは対応)の失敗 8、サイバー犯罪の拡大とサイバーセキュリティの低下
9、天然資源危機
10、大規模な非自発的移住
10年後には、
1、気候変動緩和策の失敗
2、気候変動への適応(あるいは対応)の失敗 3、自然災害と極端な異常気象
4、生物多様性の喪失や生態系の崩壊
5、大規模な非自発的移住
6、天然資源危機
7、社会的結束の浸食と二極化
8、サイバー犯罪の拡大とサイバーセキュリティの低下
9、地経学上の対立
10、大規模な環境破壊事象
【出典:『世界経済フォーラム』より】
となっています。
直近の、今後2年の間に起こり得るリスクは特に気になるところです。
不思議と『日本』は特にね。
そう言えば、『ダボス会議』の議長である「クラウス・シュワブ」氏は、あの『ノーベル平和賞』を受賞し、今のような『日本』になったきっかけに多大な影響を与えた「ヘンリー・キッシンジャー」氏の直属の教え子だったなぁ。
そして、「ヘンリー・キッシンジャー」氏は1971年には『中国』どの会談でこんな発言をしています。
「『日米安全保障条約』に基づく『在日米軍』の駐留が『日本』を再び『軍国主義』になることを抑えており、同盟関係を解消すれば『日本』は手に負えない行動を取り始めることになる。だから我々(『アメリカ米軍』)が『瓶の蓋』のような役割を果たしている。」と…。
ねっ!もう分かったでしょ⁉︎
この会議の目的が…。