2021年もお盆が過ぎ、それと同時に夜も少しずつ過ごしやすくなってきていますが、まだまだ昼間は30℃を越える所も多く、寒暖差で体調が崩しやすい時期となりました。
そして、子供たちもそろそろ夏休みを終えようとしている時期になりましたが、まだ宿題を終えていない子は、今頃ラストスパートの時期になっている頃でしょう。
ただ、新型コロナ感染拡大の影響を受けて、ちゃんと2学期を無事迎えることが出来るかどうかも分からない状況に迫っていますが…。
そして、こんな世の中の状況で『アウトドア業界』が流行りはじめています。
この夏休み、観光地や帰省が出来ない分、近くの山や川でキャンプをしに行くという方も多かったのではないでしょうか。
個人的には、暑いのと虫が嫌いなので絶対に行きませんが。
ただ、これからの時代、何が起こるか分からないので、大人も子供もそれなりに、自分の身は自分でなんとかする術を身につける必要があると思います。
これからの時代は…。
そんなキャンプでの醍醐味は、何と言っても『飯盒炊爨(はんごうすいさん)』。
今風な言い方だと、キャンプ料理やキャンプ飯と言うんでしょうか。
中でも、定番は子供から大人まで、みんなでワイワイと作って食べる料理の王様、「カレーライス」。
(上記はアウトドア雑誌『BE-PAL』より引用。)
でも、この「カレーライス」の具材で重要な肉の種類が地域によって違うと言うのをよく聞きませんか?
実は、これ『日本』の歴史に深く関係があったんです。
というのも、古代から近畿地方が『日本』の中心となり、『朝廷』を中心として国家が動いていました。
そして、近畿以南・西日本は農地を耕したり、や物資・時には人を運ぶのに力の強い「牛」を利用していました。
(上記は『クボタグループ』ホームページより引用。)
牛を使って農耕をしたり、『平安貴族』を運ぶために「牛車」にしたりなどはイメージを浮かべやすいのではないでしょうか。
(上記は『平治物語絵巻物』「六波羅行幸ノ巻」 国立国会博物館 所蔵 より引用。)
それだけ、『西日本』の人たちにとって「牛」は身近な存在だったというのが、分かりますね。
だから、明治の『文明開花』以降、肉を食べる習慣になった時に、すんなりと「牛肉」が受け入れられていき、「カレー」にも入るようになったんですね。
また、一説には「江戸時代」には薬膳として、「牛肉」食べていたとあります。
実際、『徳川四天王』のひとり、「井伊直政」が祖である「井伊・彦根藩」は「彦根牛」の味噌漬けを、将軍に新年の挨拶の際に、「養生肉」として献上し、それを将軍は楽しみにしていたという文献が残っています。
そして、全国で唯一、食肉用の「牛」を幕府公認として許されていた藩が、この「彦根藩」であり、近江地方の「牛」だけが飼育を許されていました。
今でも、「近江牛」は有名ブランド牛であり、『三大和牛』のひとつとして、名前が上がっているのはこのような歴史的背景があったんですね。
「松阪牛」に関しても、明治の『文明開花』以降、『お伊勢参り』として、『伊勢神宮』に訪れる際の経路にあることから、著名人を含めて多くの参拝客に人気を集め、現在の地位にまでのぼりつめたという歴史があります。
このようなことから、『西日本』では「牛肉」が当たり前となっていきましたが、『東日本』ではどうだったのかというと、農耕では「牛」よりも「馬」を主としていました。
これは、『西日本』よりも『東日本』が比較的、寒い事、そして「馬」がその寒さに強いことなどが挙げられています。
実際に、明治の農耕に関する「牛」と「馬」の分布図を見てもらうと一目瞭然だというのが分かります。
(上記は『明治前期における耕牛・耕馬の分布と牛馬耕普及の地域性について』より引用。)
そして、これと同時に元々『東日本』は鎌倉幕府以降、『武家社会』の文化で、明治維新後も騎馬隊などの戦では「馬」が使われていたという事実から、『東日本』では「牛」よりも「馬」の文化だったという歴史があります。
その後、西洋文化の広がりとともに、『関東大震災』以降、食用として養豚の技術が伝わり、特に関東地方を中心に広がりを見せていきました。
一説には、「馬」は『馬力』ということばがあるくらいパワーがあるが、それ故に筋肉ばかりで食用としては向かなかったというのと、当時は農耕よりも、工業化が進んでいたこと。
そして、「東京」を中心に人口が一気に増えて、生ゴミが大量に増えてしまったこと。
その生ゴミをエサとした、「豚」を飼育することで、ゴミも抑えられて、さらに美味しい「豚肉」になるという、まさに『一石二鳥』の動物だったんです。
このようなことから、関東地方を中心に食肉でも「豚」を扱うようになり、現在でも「カレー」などに「豚肉」が主となっていったようです。
そして、これは「カレー」だけで無く、『お袋の味』の代表格の「肉じゃが」でもそうなりました。
だから、今でも生まれ育った地域によって、「牛」だったり「豚」だったりと論争を広げているのです。
このように、「カレー」や「肉じゃが」の食文化を紐解いてみると、当時の『日本』の歴史が分かってくるというのも面白いですね。
家庭料理の代表格、「カレー」や「肉じゃが」を食べて、その作る人の歴史が分かるという『日本』の食文化。
是非、周りの人にも聞いてみて、その歴史も紐解き、共有したいですね。